あなただけのcolor



響の部屋の中。


ドキドキするんだけど…


紅茶を一口飲んで落ち着かせる。


ゴクン…



響の口からゆっくりと話が始まる。



「沙来、俺の親さ…会社経営してるんだ。ま、社長と専務ってヤツで…」



「だから家はこうだし、誰もいない。俺が小さい頃からずっと…ずっとー……」



響は部屋の窓の外を眺めながらそう言った。

寂しい目だった。



「だから、響の家はこんなに大きいんだ!あっ、料理が上手なのもそのせい?」


私はいつも響と違うせいか少し明るく言ってみせた。



「そのせいって…まぁな、料理は嫌いでもねぇし」



響は話を続けた…



親との思い出はほとんどない事。

家にいつも一人でご飯食べてた事。

欲しいモノは全て買い与えてもらった事。


親からの愛情はそこには無かった事。


でもどうにか振り向いて欲しくて何でも頑張ってきた事。




涙が零れそうになった…



「だから俺さ、沙来の家すげぇいいなって思った…俺ん家にはないモノが沢山あふれてる」



「そ…かな」



「だから今もこうして沙来と、一緒に居られるだけで幸せなんだ…」



「…うん私も」



「沙来、話まだあるんだけど…」



「なに?」




さっきの目とはまた違う響…


寂しいのと苦しいのと…


辛そうな目。


でも真剣な目をしてる…




何?…響ー……














< 221 / 233 >

この作品をシェア

pagetop