あなただけのcolor
潤んだ沙来の瞳がびっくりしたと同時に哀しい目に変わった。
「…え、嘘…だよね?な…に?意味が…分かんない…」
途切れ途切れの沙来の声が聞こえる…
沙来の声を聞いて、心臓を掴まれたみたいになって
「…っ俺は、…一年留学して…親の会社の為に後を継ぐ…から」
目を見て話が出来ない…
見ると大切な事を伝えられない…
伝えないといけない…
別れる話をしてるんじゃないから…
離れないよな…
「…沙来…」
勇気を出して沙来を見る。
沙来はただじっと俺を眺めてた…
ポロポロ静かに涙を落としながら…
「っっひ…びきっ、ヒック…いやっだよ…」
ズキン…
「沙来…俺離れたくないよ…一日だって会えないだけで辛い…沙来が好きだ…別れたくない」
うんうんと首を縦に何回も振る沙来。
「もちろん、反対した。反抗したよ親に…叶わなかった俺の気持ち…」
「ヒック…ひび…っきの家は、仕方ないよね…頭で分かってる…けど離れるなんてっ…やだぁぁ〜」
俺の力の無さのせいで沙来をこんなに悲しませてる。
どうにも出来ない現実にもどかしくて情けない気持ちで一杯だった…
こんなに好きなのに…