それでも世界はまわる -いつかの夢-
渋々留め具を外す。

その隙に新田が美佳の携帯電話を手にとった。

「このストラップもお揃いなんだっけ? 本当仲良いんじゃね」

「はは・・・」

なぜか毒のある言い方に聞こえてしまう。

曖昧に笑いながら、平井に指輪を渡した。

「わー、綺麗! これ本物のダイヤモンド?」

言いながら二人は窓際に向かう。
新田は携帯を持ったままだったが、何も言えなかった。

平井が宝石の部分を夕日に照らしてみる。

このあたりは海沿いなので、夕日も本当に美しい緋色になる。

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