それでも世界はまわる -いつかの夢-
二人はこちらを背に何かモゾモゾしている。

偽物を掴まされたりしないだろうか不安に思っていたが、突然

「あっ」

平井が声をあげた。

「ごめん風吹、落としちゃった」

「ええっ!?」

「一緒にストラップも眺めとったんじゃけど、それも落としたみたい」

振り向き、悪びれる様子もなく謝る平井。
隣で嘲笑う新田。
残ったのは、白い携帯だけ。

美佳は駆け寄る。途中机につまずきそうになったが、なんとか持ちこたえた。

窓から身を乗り出すが、二階から望む中庭ではどこにも見当たらない。
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