それでも世界はまわる -いつかの夢-
美佳は今にも泣き出してしまいそうだったが、二人に励まされてなんとか堪えていた。

手放した不安、後悔、平井と新田への憎しみ、悲しみ、彩と由梨子への負い目。

太陽が沈む。

もうすぐ七時になる。

二人には何度も帰宅を促していたが、これ以上遅くなるわけにはいかない。

今日は諦めるしかないと思い始めた頃だった。

「美佳さん! やっと見つけたー」

陸上部を終えた慎吾だ。美佳の前まで来てしゃがむ。

「慎吾くん?」

「こんな時間まで探しとったんじゃ。ごめんね、もっと早く持ってきてあげればよかった」

言いながらジャージのポケットから何かを取り出した。
< 32 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop