それでも世界はまわる -いつかの夢-
美佳が慎吾を見る。潤んで揺れる瞳。

「誰かに、なんか言われたん? 自暴自棄になっちゃダメだよ。二人が幸せならそれで」

「違うんっ!」

目を合わせたまま、首を激しく振る。

「教室から捨てられたんよ、指輪とストラップ。なんでなん? 何が気に入らんのじゃろう? うちらが幸せなだけじゃ、ダメみたい・・・」

途中で声が掠れる。また泣かせてしまった。
涙が缶に落ちて、砕ける。

慎吾も噂はよく耳にしていた。

たちの悪い生徒がいること。

泣き虫の美佳が、悩まないわけないとは思っていたが、現実はもっと厳しいものだったらしい。

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