それでも世界はまわる -いつかの夢-
しばらくはかける言葉が見つからずにいたが、やがてリュックからタオルを出して涙を拭いてやる。

「二人が幸せならいいんだよ。みんなは僻んどるだけじゃし、そのうち諦めるよ。気にしとったら損。どーしても気になる時は、相談して」

言うと汗を拭いた後のタオルだったことに気付き、後ろめたい気持ちになった。

しかし美佳はタオル越し、慎吾の優しい手に顔をもたれる。

「ん。ありがとう・・・」

美佳が落ち着きを取り戻すうちに、バスもやってきた。

この時間にもなると、田舎のバスは混んでいない。二人の他に乗客は三人。

美佳と慎吾は一番後ろの席に座ると、窓側に移動する。

バスは一分ほど停車して緩やかに出発した。
駅前はもうバレンタイン一色である。カラフルなイルミネーションが綺麗。
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