それでも世界はまわる -いつかの夢-
「なくしたんなら素直に言ってくれればいいのに。隠す理由があるんかね?」

りおんは試すように見てから、返事も待たずにふいっと行ってしまった。

そのまま友人とお喋りでは弁解のしようがない。

携帯を鞄に戻しながら、崩れるように椅子に座る。

「美佳ちゃん、おはよう。大丈夫?」

「ゆりっぺ・・・おっは」

由梨子は一部始終見ていたようだ。
心配そうに胸を押さえる。

「神楽君に話してないん?」

「うん・・・その方がいいと思うよ。大丈夫、すぐ機嫌直してくれるって」

無理しないでね、由梨子は穏やかに微笑んだ。


   *      *      *


放課後までりおんはご機嫌ナナメだった。
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