それでも世界はまわる -いつかの夢-
「でも確かに、風吹おらんかったら五倍は数もらえとるよね・・・」

いずみの無神経な発言に、大輔が彼女の腹を肘で押す。

もちろん美佳にも聞こえていた。怖いもの見たさというか、最初から聞いていた。

「むんむん、購買付き合ってもらえる?」

瑞穂と連れ立って教室を出る。

りおんはその光景を見ていなかったが、不機嫌に輪をかけたのは言うまでもない。


   *      *      *


「はーっ。まず一言目がどストライクだよね」

廊下を歩きながら、手持ち無沙汰に粒柴の小銭入れをいじる。

瑞穂が覗き込んでくる。

「チョコいらないってやつ?」

「それそれ。しかもすごいチョコばっかりじゃ、あたしのなんか渡せんよねー」

「いずみちゃん、悪気があったわけじゃないと思うよ」

思案顔の瑞穂ににっこりする。

「分かっとるよ」
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