それでも世界はまわる -いつかの夢-
瑞穂も、美佳に向かって優しげに目を細めた。

「神楽君、美佳ちゃんのチョコ待っとるんじゃないかな」

「んー、でももうあげん」

「ええー? なんで? せっかく作ったのに!」

「あげんったらあげん!」

意地を張る美佳に呆れた。

購買に到着すると、美佳はパンやお菓子を大量に買う。

どこか吹っ切れない表情に、瑞穂は不安を覚えた。


   *      *      *


二人は四組に戻ると、今度は六組へ向かった。

「慎吾くん」

「わー、チョコ! 僕にもええん? ありがとうー!」

廊下側に呼び出して、昨日苦労して作ったものを渡す。

「胃薬持参でお願いします・・・」

美佳が申し訳なさそうにするのに、慎吾は脳天気に笑う。

「あはは、手作りってだけで嬉しいよ」

絶対神楽君もそう思ってる、瑞穂は心でぼやいた。
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