それでも世界はまわる -いつかの夢-

   *      *      *


冬の海岸は、少し物寂しい。

スカートに浜風は寒いが、山育ちの美佳は海が好きだった。

波の音は落ち着くし、いつ来ても潮の香りが新鮮。浜辺には稀に不思議なものも流れ着いている。

テトラポットまで近付いて、そこに腰掛ける。

「それ持ってきて大丈夫? チョコすごい数だね」

狭い足場に大きな紙袋は不安定だ。

「足りない!」

りおんがキッと睨むと、美佳はぎこちなく視線を逸した。

「あ・・・ああー・・・はい、これ。チョコばっか食べ飽きてると思って変えてみた! 購買一番人気商品、夕張クリームメロンパン!」

背中からリュックを正面で抱えて、中から取り出し、ことさら明るくする。
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