それでも世界はまわる -いつかの夢-
三十分ほどそうしていた。
盛り上がっているのだろう、そんな風に思っていた。

が、カラオケボックスから出てきたのは平井と新田の二人だけだった。

野蛮に笑っていた彼女たち。

慎吾の心にあった引っ掛かりが、弾けた。

平井、新田、岡本、氷上。
四人は仲が良かったじゃないか。
悪名高くてイタズラ好きで、そうだ、入学して早々喫煙で停学を食らったのは、その四人だったではないか。

嫌な汗が額を伝う。

合流したのか? なぜ二人だけ帰る? 残ったメンバーで楽しくしているのか? 今日は別グループ? 勘違い?

考えすぎかもしれない、でも居ても立ってもいられなくなった。確認しないと。

ハンバーガーショップを飛び出すと、視界の端にコンビニが映る。

思い出したようにポケットを探り、無我夢中で携帯のボタンを押す。
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