それでも世界はまわる -いつかの夢-
三コール目で応答した。

良かった、気付かなければ店まで突撃するところだった。いつも暇だと、メールを送りつけてくる。

「どしたん? まだバイト中」

「りおん! 美佳さんが・・・」

慎吾の論外な慌てぶり、恋人の名前、りおんの声色が一気に変わる。

「美佳?」

「今向かいのカラオケ屋のとこ・・・やばいかも、地獄かもしれん、でも僕の勘違いかも、なんもないかもしれん」

「一分で行く」

荒っぽく切られる。

慎吾は携帯をポケットに収めながら、再び走りだした。陸上部なめんな。

受付で部屋を尋ねるが、分かりかねるとか言われる。

そこへりおんも到着。コンビニのユニフォームを羽織ったままだ。

りおんの勤務時間は別の女子高生と二人で、普段は退屈だと言っていた。緊急事態と抜け出してきてくれたのだろう。
< 61 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop