それでも世界はまわる -いつかの夢-
「教えてくれんなら、自分らで探すし!」

慎吾がそう吐き捨てると、手分けして部屋を覗いていくことに。

二階から順番にチェックしていき、最初にそこを見つけたのは、慎吾だった。

地獄だった。

異臭漂い、
声を消すためか大音量で流されるカラオケ。
誰かを囲って、仰天の眼差しでこちらを振り向く岡本、氷上、小田部。

部屋の隅に、後ろ手で手錠をかけられた瑞穂がいた。

恐怖に震えてはいるが、彼女は無事なようだ。後々聞いた話では、経験のない彼女を美佳がかばったらしい。

その為にさらに惨く晒された美佳が、中央に横たわっていた。

先ほど胃に入れたものが逆流してきそうだ。こんな事ならハンバーガーひとつにしておけば良かった。

「たす、け、て・・・」

「おー、村上! お前もやるか!」

ひねり出した少女の声をかき消すように岡本が叫ぶ。

正直、動けなかった。
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