それでも世界はまわる -いつかの夢-
しかし氷上が美佳の足を持ち上げたのに、切れた。

「やだ・・・慎吾くん、見ない、で・・・」

とっさに床のマイクを投げた。

胸ぐらを掴んで、一心不乱に三人を殴った。

反撃してこなかったのは奇跡かもしれないが、その時は何も思わなかった。

最中のことは覚えていないが、いつしかりおんが彼らを絞めていたのに我に返った。

「ダメだ、りおん! ここに・・・来たらいけん!」

りおんを必死にはがし、部屋から追い出した。

呼ぶべきじゃなかった、馬鹿だった。目の当たりにしたら、どっちも傷付くのに。

クールな彼が発狂しているのは・・・苦しい。

平井たちの置いていった鍵で瑞穂を自由にし、岡本、氷上、小田部も叩き出した。

彼女も平静でいられないことは分かる、しかし他に頼れる人がいない。瑞穂も理解して、りおんを連れていってくれた。
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