それでも世界はまわる -いつかの夢-
コンビニのカウンターにいるのは、大神山水産高校の子と言っていたか。入店しても、いらっしゃいませすらない。

りおんの言った通り退屈そうで店内に客もいない。

「何か飲む?」

「ああ、うん・・・ほしいかも」

まったく慎吾は気が利くと思う。喉の渇きなんて、自分でも忘れていた。

慎吾は500ミリペットボトルのミネラルウォーターを取ってくると、一緒にレジで会計を済ませる。

「あの、りおんたち、来てない?」

下の名前は馴染みがないのかもしれない。少女は一瞬首をかしげたが、すぐにああという表情をした。

スタッフルームにいると教えてくれたので、反対側、ウォークインの隣の扉からお邪魔する。

まずダンボールやらいろんな箱が積んであって、奥にパソコンがある。さらに左奥に通路があり、広い休憩室があった。

瑞穂とりおんは椅子に座り何か話しているようだった。

「美佳ちゃん!」

「むんむん! 大丈夫?」

瑞穂が立ち上がると、美佳は泣きつく。
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