それでも世界はまわる -いつかの夢-
美佳はチャーリー・スミスのコートを贈った。

りおんが欲しいと言っていたもので、四万円弱した。それでも貯金とお小遣いの前借りで精一杯だったのに。

一方、りおんは大神山高校に進学してからアルバイトを始めた。

中学と同じくバスケ部に入ったがすぐ辞めた。時間が空いてしまったので週二回、コンビニで働いている。

少し無理をすればこんな高価なものも買えるらしい。

高校生ではもったいないような感じがした。

そう、まだ高校生だ。結婚なんて。

「まだ、高校生だよ・・・」

広い意味だった。

無理だという一般論、これから他にもっといい人がいるのではという遠慮。

「早いのは分かっとるよ。でも、僕が十八歳なるまで待ってほしい。そしたら、正式に籍を入れよう」

りおんは美佳を見つめたまま答えた。
< 7 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop