それでも世界はまわる -いつかの夢-
「ありがとう。慎吾くん、優しい」

おっとり微笑む美佳。

苦痛もやわらいできたのか、しかし慎吾はそれを向けられることに罪悪感があった。

「慎吾くんがおらんかったら壊れてたかも」

「僕がおらんかったら、こんなことならんかったのにね・・・」

「え・・・?」

ずっと考えていた。

カラオケボックスで美佳が汚れを落としている間、コンビニでりおんと口論している間、バスで美佳の寝顔を眺めている間。

僕のせいだ・・・。

「僕がカラオケなんか行かせたからいけんかった。全部、僕のせいだ・・・」

慎吾が消え入りそうに呟くのに、美佳は胸がつぶされそうだった。

「慎吾くん優しすぎる・・・。そんなに責めんで。うちまで悲しくなるわ・・・。守って、くれるんじゃろう?」
< 70 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop