それでも世界はまわる -いつかの夢-
放課後になると急いで帰りの支度をする。

友チョコをたくさん配りあったお陰で、お返しも多い。がんばって鞄に詰めているとりおんが近付いてきた。

「美佳、一緒に帰ろ」

「あ・・・ごめん、今日慎吾くんち行ってくる」

手を働かせながら答える。
顔は見れない。りおんの目には弱いのだ。

「・・・え、なんで?」

うなだれたような、疑しげなようだったが、なるべく普通に取り繕った。

「え、なんでって? いつものことじゃん?」

空笑いする。

ようやく荷物もまとめきれた。お互い無言だったが無関心なふりして席を立つ。

「どーしたん? 大丈夫?」

「ああ・・・僕は大丈夫。楽しんできてや」

心配そうなりおんに触れようとしたが、どこから監視されてるかもしれないので抑え我慢した。
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