それでも世界はまわる -いつかの夢-
まっすぐ自分のことだけを考えてくれる。

嬉しい。とても幸せ、とても愛しい。

大粒の涙が押し出されて、次々こぼれてくる。

「あたしなんかで、ええん・・・?」

「美佳がいーの」

優しい腕の温もりに包まれる。

新品のコートが涙に濡れようが鼻水にまみれようが、構わず顔をうずめた。

胸のあたりをぎゅっと掴む。と、りおんがその手をとった。

そっとリングを指に通す。

「もおおお、りおん君のばかぁ」

右手と左手、かたく握り合った。

「なんでや、ってかあんた泣きすぎじゃろ」

「だって、だって」

りおんはひとしきり笑うと、彼女の髪を撫でる。

二人はゆっくり目を閉じて、そのまま唇を寄せ合った。
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