それでも世界はまわる -いつかの夢-
「ごめんなさい、美佳、体調崩して寝てるのよ」

「いえ、美佳さんに話すんじゃなくって・・・二人で、話したいんです」

その意味深な言い方に母がやや混乱していると、美佳が顔を覗かせた。

「お母さん、居間に行こう。慎吾くんあがって」

居間でテーブルを挟み、父と母を正面に正座する。母はお茶を出そうとしたが、止めて座らせる。

美佳は黙っていた。
というより何て言えば良いか分からなかった。

慎吾は考えてきていたと思うが、緊張で震えて、やはり黙っていた。

「慎吾くん、こんな時間にどーしたん?」

父が尋ねる。

「・・・ごめんなさい、あの、美佳さんを僕にください!」

かたまったまま、しかし力強く言い切った。
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