それでも世界はまわる -いつかの夢-
街灯もない校庭、月の光だけを浴びて輝く左手の薬指の、愛の証。


   *      *      *


翌日の学校に指輪をつけていくのはやめた。

高校生での婚約が、良いことか悪いことか判断がつかなかった。

美佳は優等生の部類だったので、先生や両親を困らせることをしたくなかったのだ。

水瀬中は学力レベルが高かったのか、クラスでだいたい平均値だった美佳が、大神山高校ではいつも学年五位以内に入る。

一年生で執行委員にまで選ばれたのはちょっと自慢だ。

りおんの方は勉学に多少不真面目だが、その容姿と性格から学校内の女子にとても人気があった。

それゆえ、目立つカップルだったことは確かだ。
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