君が描いた一ピース
君が描いた一ピース
今、私は部屋の片付けをしている。多分、現実逃避をしているのだろう。私はよく忘れたいことがあったら部屋を片付けるから。ほら、テスト前に部屋の片付けをする人って多いでしょ? 同じだよ。
彼氏と喧嘩をした。原因は些細なことである。どうして喧嘩したのか忘れそうになるほどに。
そうだ、彼氏が私たちの記念日を忘れていたのだ。彼氏が私に告白してくれて、明日で二年目。そのことを話題にすると彼はそうだったかなと呟きそっぽを向いた。覚えていないのだ。そして喧嘩になった。本当に些細なことだなあ。彼にとっては、だけどね。
ゴミの山。要らないプリントを溜め込んでいたようで、全てを処理し終えた棚を見ると満足感が体を巡る。
あれ? 棚の向こうに何か落ちている。何だろう。
……あ、これは。
パズルだ。パッケージには中身がパズルであることを示す文字が書かれていて、デザイン性を考えたのか所々英語で何か書かれていている。
そこまで凝ったデザインなのに、肝心のパッケージにかかれているパズルの絵は真っ白である。
正しい。このパズル、始めは真っ白であった。
そういえばこれ、彼が買ったんだ。
ちょうど去年の……私たちの記念日、彼はこれを持って私の所へやってきた。
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