【短編】咎(とが)
「……ねえ。咎って一体、何をしたの?」

除消の風貌から、あらぬ想像を掻き立てられる。

窃盗、詐欺、脅迫、強盗、……殺人?いや、殺神?

「イヤナニ、大シタ事ジャネエヨ。タダチョット、博打、ガナ」

……、博打?ギャンブル?

「マア、チョットバカシ、借金ガ、ダナ」

借金?さっき、役目を果たさない神は報いを受ける、って言っていたような。

「マア、回ラナクナッチマッタッテ訳ヨ、首ガナ」

首なんて無いくせに、と言おうと思ったけど、話がこじれそうなのでやめた。

「……取り立てにでも遭ったの?」

何気なく聞いてみただけだったけれど。

ガタガタ、がたがた、ガタガタ、がたがた、ガタガタ、がたがた、ガタガタ、がたがた。

除消が、頭を抱え、血の気が失せた顔で、「アァ、ウゥ」なんて呻きだして。


……なんか、悪いこと聞いた。

どうやら除消は、ギャンブルで多額の借金を背負ってしまい、激しい借金の取立てにも遭って、二進も三進もいかなくなって。

自分の役目も果たせなくなり、咎負いを受けて、下界に落っことされたらしい。

……なんて、間抜けな。

ここまでくると、わたしの除消に対する恐怖心は、ほとんどなくなっていた。

不気味な見た目とは裏腹の、ユーモラスなキャラクター。

それに騙されたのがいけなかった。

超常現象に出くわして、正常な判断能力が欠如しているからこそ、気づけていなかった。

除消が絶えず、わたしに悪意ある眼差しを送っていたことに。

……、

彼の邪まな考えは、すぐに明らかになった。
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