紺青のテネレッツァ
「ようするに、
あの場所で家族に捨てられたんじゃないか
ってこと、か‥」
名前も顔も分からない両親に捨てられたところで
悲しいとは思わない。
だけど、
自分の変わりに辛そうな顔をする父さんを見ていると
胸が無性に締め付けられた
「認めたくないことやけど
コレは良くある話や
“此処”にもそういう子はぎょうさん居てる」
怒りに震える拳は
だんだん白くなっていった
あぁ、どうして‥
どうして他人のコトなのにこんなに優しくなれるんだろうか
この人はなんて暖かいんだろうか
無意識の内に僕は
父さんの手を握った