紺青のテネレッツァ
「やっぱり父さんは凄いよ」
「え?」
突然僕が吐き出した言葉に
父さんは数回瞬きを繰り返した
「誰にでも優しく出来て、
他人のために悲しめる
それって強い人じゃないと出来ないと思うし。」
「碧‥。
儂はな、小さい頃からオトンに
“人に優しくしてもらったら
お前はその倍の優しさで相手を包み込め
人が悲しんでたらその原因に怒りを向けるんや無くて一緒に悲しみを分かち合え
怒りからは何も生まれへん
優しさは2倍
悲しみは1/2
怒りは0にするんや”
ってずっと言われてたんや
アホみたいに真っ直ぐやろ?
でもその言葉はずっと覚えててな、今ではオトンのこの言葉は儂の宝物や思とる。」
思い出しながら少し悲しい顔をしたり、照れくさそうに笑ったりする父さん
あぁ、この人の性格はお父さん譲りなのか。