紺青のテネレッツァ
「その、僕の能力って‥?」
「紀が居ないときに話すのはどうかと思ったんだけど、
やっぱり碧君には先に話しておくわ」
近くにあった椅子に腰かけて
朔夜さんはゆっくりと話し始めた
指を絡ませ目を閉じる朔夜さん
その雰囲気は先ほどまでとは
まるで違う真剣なもの
「あの日、私が聞いたのは紛れもなく碧君の声だった」
僕の声?
記憶を無くす前だろうか、
朔夜さんに話しかけた記憶なんて僕にはありはしなかった
「雪降る街で、必死に生きたいと叫ぶ声だったわ」
―――――