紺青のテネレッツァ
「それより、朔夜。
お前能力は分からん言うとったくせにほとんど分かっとるやないか」
「説明するの面倒だったのよ。今したからいいじゃないの」
そういえばさっきの話の中で
僕は“気感能力者”だと
言っていたけど‥
「能力者って‥何なの?」
「碧?」
「能力って何のためにあるの?」
次第に自分の口調が強くなるのが分かった
理由は分からない
怒りをぶつけたいわけじゃない
ただ、怖い。自分が怖い。
そう感じた
「くっ‥ぅぐ‥」
「碧!?」
あぁ、頭が痛い
左手が焼けたように熱い
「どうしたの!?」
「分からん!碧、しっかりするんや!」
「嫌、いや‥嫌いにならないで!」
父さんと朔夜さんは近付いてきているはずなのに‥
物凄く遠くに感じる
嫌悪と好奇の目
ひそひそと囁く声
近づけば罵声を吐き捨てられる
黒いモノが心を覆い尽くしそうになった時、
優しいぬくもりに包まれた
「大丈夫やから。
儂はここにおるから、離れたりせんから、安心しぃ」
何度も撫でてくれた優しい右手が頭を撫でる
空いた左手は強く抱き締めてくれる
「、父さん」