恋した鬼姫
セラは、お婆さんのことで頭がいっぱいになっていた。
その時、戸が開き誰かがやってくる音が聞こえた。
殿様だった。殿様は、物珍しそうに除き込んできた。セラは、無言のまま殿様を睨みつけた。
「ほぉ〜!これは、実に面妖な女だな。面白い!気に入った。先程の侍達に褒美をくれてやれ。」
殿様は、家来に命ずるとまたセラを眺めた。
「おい、女。名は、なんと申す。」
殿様は、セラに興味津々だったが、セラは一言も答えず黙ったままだった。
困り果てた殿様は、一緒にいた家来に牢屋のカギを開けるように命じた。
そして、殿様は何を思ったか、セラが入っている牢屋の中に入ってきた。セラは、驚いて壁の隅まで逃げた。
「女、菓子は好きか?」殿様は、懐から小さな巾着を取り出すと、中から手のひらに何か一粒出すと、殿様はセラに見せた。白く透明な石だった。セラには、それが何か分からず、怯えていた。
「わしは、甘い物に目がなくてな。氷あめと言う菓子じゃ。食うか?」
セラは、黙ったまま首を横に振った。
殿様は、残念そうにひょいっと口に入れた。氷あめの甘さで殿様の顔は柔らかく笑みを浮かべた。
それを見たセラは、怯えながらも口を開いた。
「お願いです。お婆さんの所へ帰して下さい。」
「ふむ。お前には帰る場所があるのだな。」
セラは、殿様が話せば分かってくれる人だと思った。
「はい。私は、お婆さんと二人暮らしをしていました。お婆さんと買い物で町に出ていた所を男の人達にここへ連れて来られました。どうか、お婆さんの所へ帰して下さい。」
それを聞いた殿様は、黙ったままスッと立ち上がると牢屋から出た。
そして、家来に命じた。
「この者と一緒にいた老婆を見つけ出し、始末しろ。」
振り返って、殿様がセラに言った。
「お前は、今日からわしの物だ。帰る場所なぞ必要ない。」
セラは、耳を疑うほどの残酷なことを殿様は平然とした口調で言った。
「止めてください!お願いします!何でも言うことを聞きますので、お婆さんには何もしないで!」
セラは、必死で泣きながら殿様にお願いをした。
殿様は、それを聞くと家来に命令を撤回した。
「もし、お前が逆らうと言うなら、いつでもお前が大切に思っている老婆を始末させる。」
そして、恐ろしく微笑んだ。
その時、戸が開き誰かがやってくる音が聞こえた。
殿様だった。殿様は、物珍しそうに除き込んできた。セラは、無言のまま殿様を睨みつけた。
「ほぉ〜!これは、実に面妖な女だな。面白い!気に入った。先程の侍達に褒美をくれてやれ。」
殿様は、家来に命ずるとまたセラを眺めた。
「おい、女。名は、なんと申す。」
殿様は、セラに興味津々だったが、セラは一言も答えず黙ったままだった。
困り果てた殿様は、一緒にいた家来に牢屋のカギを開けるように命じた。
そして、殿様は何を思ったか、セラが入っている牢屋の中に入ってきた。セラは、驚いて壁の隅まで逃げた。
「女、菓子は好きか?」殿様は、懐から小さな巾着を取り出すと、中から手のひらに何か一粒出すと、殿様はセラに見せた。白く透明な石だった。セラには、それが何か分からず、怯えていた。
「わしは、甘い物に目がなくてな。氷あめと言う菓子じゃ。食うか?」
セラは、黙ったまま首を横に振った。
殿様は、残念そうにひょいっと口に入れた。氷あめの甘さで殿様の顔は柔らかく笑みを浮かべた。
それを見たセラは、怯えながらも口を開いた。
「お願いです。お婆さんの所へ帰して下さい。」
「ふむ。お前には帰る場所があるのだな。」
セラは、殿様が話せば分かってくれる人だと思った。
「はい。私は、お婆さんと二人暮らしをしていました。お婆さんと買い物で町に出ていた所を男の人達にここへ連れて来られました。どうか、お婆さんの所へ帰して下さい。」
それを聞いた殿様は、黙ったままスッと立ち上がると牢屋から出た。
そして、家来に命じた。
「この者と一緒にいた老婆を見つけ出し、始末しろ。」
振り返って、殿様がセラに言った。
「お前は、今日からわしの物だ。帰る場所なぞ必要ない。」
セラは、耳を疑うほどの残酷なことを殿様は平然とした口調で言った。
「止めてください!お願いします!何でも言うことを聞きますので、お婆さんには何もしないで!」
セラは、必死で泣きながら殿様にお願いをした。
殿様は、それを聞くと家来に命令を撤回した。
「もし、お前が逆らうと言うなら、いつでもお前が大切に思っている老婆を始末させる。」
そして、恐ろしく微笑んだ。