恋した鬼姫
姫の名は、セラと名付けられた。



しかし、問題が起きていた。セラが五歳になっても、王と王妃はまだセラに贈るはずの鬼の角が決まっていなかった。
なぜなら、セラのあまりの美しさに似合うほどの角が見つからないのだ。

そこで、王と王妃は、家来たちに命じて国中の掲示板に鬼の王のサインが入った紙を貼った。

内容は、｢我が姫、セラのために世界一の角を捧げよ。報酬として、１００ゴールド贈る。｣

(１００ゴールドとは、街が一つ買えるくらいの金額である。)


国中の鬼達は、毎日のようにお城から大通りまで列を並べて王と王妃に角を見せにいったが、どれも王と王妃は、首をたてに降ることがなかった。
その中には、鬼の国で一番有名な角職人の角でさえも、セラに似合う角は作れなかった。


そして、何年も時は過ぎ去り、角がないままセラは１５歳の年を迎えていた。
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表紙・目次

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