恋した鬼姫
セラは、せっかく美しく生まれたのに、角がないせいで皆に、15歳の今まで一度も姿を見せなかった。お城の家来でさえ、お世話がかりの婆や意外は、その素顔を見せなかった。

そしていつも、レースでできたベールを被っている。しかし、その顔のシルエットも美しく見え、家来たちはお城の中でセラに出会うと見とれてしまう。
セラは、その目線が気になり物心がつく頃には、余計に角がないことで皆に見られていると勘違いをして、とても気弱になり、口数も少ない姫に成長した。


そんな気弱なセラにも安らぎの場所がある。
お城の中の図書館である。図書館には、掃除をしに家来が1日一回入る意外に誰も寄り付かなかった。そんな場所で本に囲まれてセラは、おとぎ話を読むのが好きだった。





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