恋した鬼姫
あれから、1000年後
2012年 春
時は立ち、セラは生まれ変わり、もちろん前世の記憶も無く、人間の女の子として15歳になっていた。
名前は、長谷川 せら。
今年、高校一年生になる。


入学式も終わり、せらは幼馴染みの愛子と一緒に教室に向かっていた。

「知ってる?!三年に超カッコイイ先輩がいるんだって!」
愛子は、せらに嬉しそうに言った。

「また、チャラ男じゃないでしょうね?」
愛子は、中学の時からカッコイイと言う男に限って遊んでそうな人ばかりなので、せらは疑う目で笑いながら言った。

「ん〜…。」
図星だった。

「ダメだよ。いくらカッコイイからって、女の子にだらしない人は絶対に後で後悔するから。」
せらは、中学の時に散々その事で愛子を慰めていた。

「あっ!でも、今回は違うのよ。中学の時の私とは、一味違うんだから。」
愛子は、得意気に笑顔を見せた。

「ふ〜ん、どう違うの?」


「その三年の先輩は、ちょっと不良だけどチャラくないの!何故かと言うと、誰とも付き合ったことないんだってー!」
愛子は、嬉しそうにせらの周りをピョンピョン跳ねながら言った。

せらは、歩くのを止めると沈黙をした。

「何よ?なんで黙るの?」

「…それって、遊びでしか女の子の相手しないとかじゃないよね?ほら、よく言うじゃない。付き合うと面倒だからって。」

「…あっ。」
愛子は、そこまでは調べておらず、固まった。
せらは、ため息をついて先に教室に入った。


あっという間に時間は立ち、入学式の後ということもあり授業もなく、早く学校が終わった。

終わりのチャイムが鳴ると同時にせらは、足早に向かった場所は、図書室だった。
小さい頃から、本が好きで休みの日には、図書館。学校の休憩時間になると図書室。
かなりの本好きだった。

この高校に決めたのも、学校見学の時に一番図書室が大きく、本が沢山あったからだ。


せらは、図書室に入ると、さっそく本を端から見始めた。
せらには、探している本があった。昔、亡くなった祖母の家で読んだことのある本で、祖母が亡くなった時に、本も何処かへ行ってしまって、もう一度読みたいと思っていた。
今までも探してきたが、何処にも置いていなかった。

本の題名は、[恋した鬼姫]である。
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