恋した鬼姫
せらは、必死で走ったが追いかけてきた男の手がせらの髪に届き、男はせらの髪を掴み引っ張った。
せらは、その勢いで引っ張られるがまま倒れた。

男は、透かさずせらに股がり、顔や体を殴り続けた。

「誰か!助けて!」
せらは、叫んだ。

男達は、せらが話せなくなるくらい変形するまで顔を殴り続けた。

う…う…。
そして、せらは、声を出すことも出来なくなり、服は引き裂かれ無茶苦茶に乱暴された。



その頃、せらと待ち合わせをしていた。トラは、せらに電話をかけていた。
待ち合わせの時間もすぎても、せらから連絡もなく、電話を何度もかけても出なかった。

トラは、待ち合わせから1時間たっても、せらから何も連絡がなく心配になり、せらの家へ向かった。

トラが三本橋辺りにたどり着くと、急に周りが騒がしくなった。パトカーと救急車も来ていた。

「すみません、何かあったんですか?」
トラは、近くにいた人に話しかけた。

「それがね、女子高生が男達に乱暴されたあげく、そのショックで川へ身を投げたんですって。怖いわよね〜。」

トラは、胸騒ぎがした。
せらであって欲しくないと心の中で強く願いながら、現場に走った。

トラは、黄色いテープをくぐり抜けようとした時、警察官に止められた。

「君!これ以上入ってきてはダメだよ!」
警察官は、慌ててトラの体を掴んだ。

しかし、トラの恐怖と必死な顔に警察官は、質問をした。
「君の知り合いかい?」

「わかりません。でも、待ち合わせをしていた彼女が待ち合わせ場所にも来ないし、連絡もとれなくって。」
トラは、自分が何を言っているか、わからないくらい動揺していた。

警察官は、トラに少し待っているように言い、現場のまん中にいたスーツ姿の警察と何か会話をしていた。

そして、警察官がトラのもとに戻ってくると身元確認をして欲しいと言ってきた。

しかし、せらの顔などは損傷が激しく、最初に持ち物で身元確認をお願いされた。


トラは、案内され水浸しになってはいたが、綺麗に並べられた持ち物の前に立たされた。



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