恋した鬼姫
せらの事件後。
夜になると、せらの魂は三本橋の川に現れた。ここが何処なのか迷っているようにキョロキョロと辺りを見渡した。

孤独と凍えるような寒さでとても心細くなった。


せらが辺りを見渡していると、もっと橋の近くで小さな玉の光が見えた。
光は、ゆっくりとせらの方へ近づいてきた。

次第に、光は人の形をした。
「セラ。ここにいたのか。」
トラの魂だった。
せらは、パァっと顔が明るくなるとトラに飛びついた。

「うわ〜ん!怖かったよー!」
せらは、トラにしがみついたまま離れなかった。トラも強くせらを抱き締めた。

次第に二人は、光に包まれフッと消えた。



二人は、亡くなった場所がたまたま同じだったことで一緒に成仏が出来た。そして、もう二度と離れることもないように二人の魂は一つになり、また一つの魂となって生まれ変わるだろう。
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