恋した鬼姫
セラは、自分の部屋に戻って布団に潜り込んだ。
まだドキドキしていた。


チリンッチリンッ。
婆やがいつも鳴らすベル
が聞こえた。

｢姫様！お目覚めくださいませ！｣

婆やは、ドアを開け、カーテンを開けた。光が一気に部屋を明るく照らした。

セラは、それでも布団に潜ったまま出てこない。婆やは、心配になりセラに近づいた。

｢姫様？どこか具合が悪いのですか？｣

｢いいえ、大丈夫です。｣布団の中からセラの声だけが聞こえた。

｢そうですか、ご朝食の用意が出来ましたので…｣

婆やがそう言い終わる前にセラは、布団から出てきて、婆やに飛び付いた。

婆やは、ビックリしたがセラは一言も何も喋らないので黙って優しい顔でセラの頭を撫でた。

｢…、婆や。ごめんなさい。ちょっと怖い夢を見てしまったの。｣

｢いいんですよ。婆やも姫様に甘えられて嬉しゅうございますよ。｣

セラは、顔を見上げて婆やの優しい顔を見ると少しウソをついていることに胸を傷めた。

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表紙・目次

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