カラス君と黒猫さん
■こんな世の中










俺は、自分の回り四方八方にある高い建物を見上げた。



あぁ、何てことだ。

折角久し振りに晴れた空が綺麗なのに、これじゃあ狭すぎる。




上を見上げていたら、知らない女性と肩がぶつかって、お互いに嘘で固めた笑みを浮かべ、会釈をする。
あ、顔が赤くなった。


少し照れている女性を見ていると何だか不快になって、そいつを背中に歩き出した。




横断歩道を渡ると、色々な人とすれ違う。




音楽を聴いて自分の世界に入っている奴、携帯をいじっている奴、恋人と手を繋ぎながら仲良く話している奴、冷たい目をした会社員・・・・。



皆、それぞれがしたい事をしている。






あぁ、決め付けちゃいけないか。



“したい事”を簡単に出来る人間は、五万と居る訳じゃ無かったっけか。









なぁ、そうだろう?





黒猫さん。








< 1 / 223 >

この作品をシェア

pagetop