カラス君と黒猫さん







家を出て、道を歩いている途中、平常黒猫さんの話を聞いて、色々分かった事があった。



まず、発熱した理由。

カラオケの店内で先生と揉め合った時、激高した先生がコップの水を黒猫さんにぶちまけただとか。物凄い話だ。

それに、個室に入ったときにもびしょびしょの床に寝かされていたから、放置していて風邪を引くのも無理は無い。



「うん、まぁ、あの日実は熱あったんだよ」

「熱出してるのにバイト出たの?!」

「微熱だよ。37度過ぎくらい。」

「・・・・・・・たまには休んだ方がいいんじゃないかな」




そして、家。

これはまた、黒猫さんらしい家。




人気が少ない、所謂“妖しい道”沿いに建てられた、ひっそりとしたマンション。
マンション自体は綺麗だけど、薄暗い感じが漂っている。



しかも、周りには小さい公園と、民家が少し並ぶだけで何も無い。
治安悪くないのかな・・・・・・。




「送ってくれてありがとう。もう大丈夫だよ。」

「うん、治ってよかったよ。無理はしないでね。じゃあ」

「ばいばい」



マンションの前で、笑顔を浮かべて手を振る黒猫さんに応えて。



俺は家に戻った。



< 100 / 223 >

この作品をシェア

pagetop