カラス君と黒猫さん
家を出て、道を歩いている途中、平常黒猫さんの話を聞いて、色々分かった事があった。
まず、発熱した理由。
カラオケの店内で先生と揉め合った時、激高した先生がコップの水を黒猫さんにぶちまけただとか。物凄い話だ。
それに、個室に入ったときにもびしょびしょの床に寝かされていたから、放置していて風邪を引くのも無理は無い。
「うん、まぁ、あの日実は熱あったんだよ」
「熱出してるのにバイト出たの?!」
「微熱だよ。37度過ぎくらい。」
「・・・・・・・たまには休んだ方がいいんじゃないかな」
そして、家。
これはまた、黒猫さんらしい家。
人気が少ない、所謂“妖しい道”沿いに建てられた、ひっそりとしたマンション。
マンション自体は綺麗だけど、薄暗い感じが漂っている。
しかも、周りには小さい公園と、民家が少し並ぶだけで何も無い。
治安悪くないのかな・・・・・・。
「送ってくれてありがとう。もう大丈夫だよ。」
「うん、治ってよかったよ。無理はしないでね。じゃあ」
「ばいばい」
マンションの前で、笑顔を浮かべて手を振る黒猫さんに応えて。
俺は家に戻った。