カラス君と黒猫さん
「須王がねぇ~・・・・。やっぱり俺らって親子だなぁ。恋路も同じ様だとは」
「恋じゃない。」
「またまたぁ」
「今何歳だよ父さん・・・・」
こういう話になると妙に色めき出す父さんを横目に、腰を上げた。
コーヒーでも淹れてこようかな。
「父さん無糖派?」
「ん」
居間で父さんが大きい欠伸をしている。
「いや・・・・・・疲れた。向こうとこっちの時差がありすぎてどうも・・・」
「カナダはどうだった?」
「寒い。けどいいぞ、外国は。面白いな。」
「へぇ。」
床に置いたバッグの中身を漁りだす父。
仕事でもするのかなぁ。
俺は、出来上がったコーヒーを机に置いた。
「はい、須王。」
「・・・・・・・・・・なにこれ」
「カナダで流行っている“どりゃえもん”。」
「これって日本のパクりだよね」
バッグの中から取り出された、真っ青な人形を見遣る。