カラス君と黒猫さん
「もう7年も前の話でしょ。それに今更俺の性格も直るとも思わないし」
『そうか?お前は母さん似だからなぁ・・・・・。俺に似ればもっとダンディに生きれたのに』
「小さな物音にも飛び上がってしまう父さんに似なくて良かったとは思ってる」
『あれ?毒舌ったの?』
お互いに笑い飛ばしてみる。
だけどその後は沈黙が流れて。
『墓参りにも行きたいし・・・・・・ちょっくら日本に戻るかな・・・・・』
「そうだね。俺もちょくちょく行ってるよ。いつ位大丈夫?」
『来週辺りまでに仕事終らせるかな。』
「うん。分かった。」
『じゃあ』
ぴ、と消された電話から耳を離す。
そうか。墓参り。
俺は、10歳・・4年生か、それ位の時。病弱だった母さんを亡くした。
どちらかと言うと母似の俺は、7年経った今でも顔をはっきりと覚えている。はず。
もう高校生にまでなったし、くよくよするつもりもないし。
おかげで料理は得意な方だと思う。
メールが次々と着信される携帯の電源を切り、投げ捨てて、ソファに寝転んだ。