カラス君と黒猫さん





(鋭い・・・・・・・・)



にこにこと笑う父さんを見て、俺は思わず溜め息が零れた。




「じゃあ土産話にカナダの事でも語ろうかなっ!今日は酒を買ってくるぞ!」

「俺、未成年」

「俺の息子だ。酒は強いはず。」

「いや。父さん酒弱いよね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



石段を降りて、墓場を後にする。


バス停でバスを待っている間、高校はどうだの気になる女の子はどうだの聞かれたけど、ひたすら無視。


本当、父さんは若いなぁ・・・・・・・・。






「え、本当に買うの?」


家近場でバスから降り、近所のスーパーに寄った時の事。




父さんは、満面の笑みで俺が持っているカゴにワインのボトルを3本入れた。


「当たり前だろ!!久し振りの休みに酒は無いとな。」

「まぁ・・・・父さんだけならいいけど。」

「え?何言ってんだ?」

「え・・・・・・・?」



どさ、と手持ちのカゴが重くなる。
視線を落とすとビール箱が2箱。




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