カラス君と黒猫さん




能天気な黒猫さんは、寝ぼけ眼でそのくぐもった声を俺に発した。



「からすくん?」




父さんが、俺を見遣る。


頭が痛くなって、思わず眉間に指をおいた。



「須王!!!!まさか!!」




顔から華が散る。
父さんのテンションが一気に上がっているのが分かった。




「カラス君、どうしたの?」

「あぁ、いや・・・・・・・・。」



暢気に欠伸をしながら、黒猫さんは寝起きのまま体を凭れさせる。

その黒猫さんを凝視する父さん。



の、視線に気付いたのかやっと父さんに目を遣る黒猫さん。



(あれ・・・・・・)





黒猫さんの顔が明るくなった気がする。
何、これ。



父さんと黒猫さん、ダブル“さん”が見つめ合って何やらテンション高めだ。





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