カラス君と黒猫さん






俺の、新しい日課。

それは、黒猫さんと一緒に音楽室倉庫へ行くこと。






「寒い・・・・・・早く行こう」

「そうだね」



始めは、偶然ここで鉢合わせした事。

今じゃあお互いが待つ、様になっているけど。



「先生来ちゃうよ」

「大丈夫だよ、多分」




実は、別に急激に仲が良くなった、と言う訳ではない。


この間、普段生徒が行かない新館に、俺と黒猫さんがよく通っていると言う事で学年主任に呼び出しをされたのだ。

勿論、弁当を食べてたなんて言わない。



“使ってない倉庫を掃除してる”と言う名目で、その場を凌いだのだ。


そしたら、先生が大絶賛してくれて“男女仲良くやると言う事は素晴らしい!これからも二人で頑張ってくれ”と言うことで、現在に至る。




「今日はどこで食べる?」


黒猫さんが嬉しそうに笑う。



「そうだな・・・・・・図工室とかは?」

「あっそか。まだ行ってなかったね。よし決定」


黒猫さんは右手に持っている鍵をちゃらりと鳴らした。




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