カラス君と黒猫さん
先生は、掃除と言う事に余程感激したのか、わざわざ実技室全ての合鍵を俺らに託したのだ。
「これって特権だよね」
「掃除してないけど」
「バレなきゃいいんだって」
新館3階、廊下の一番奥に図工室。
木工室の様な部屋で、技術がある時間しか使わない教室。
黒猫さんは、沢山の鍵の中から図工室の鍵を取り出して、鍵穴に入れる。
「うっわー埃くさい」
「あんま使ってないからね」
カーテンが閉め切ってあって、薄暗い雰囲気。
落書きだらけの机には、よく知る人のものがあるらしい・・・・。
「ん、ここ日当たりいい」
「俺もそこで食べる」
「ここは私の場所ー」
「詰めてよ」
黒猫さんがカーテンを開け、午後の暖かい日差しが丁度射し込む机の上に座る。
占領する黒猫さんのぶらりとした足をどかし、自分は床に座った。
「今日はなんと新発売のおにぎりだー」
「新発売?」
「いくら丼」
「・・・おにぎり・・・・・まぁ考えられるけど」
がさりと袋から包み紙を取り出した。
俺はパンだ。