カラス君と黒猫さん










□ □ □



(寒っ・・・・・・・・・・)



下駄箱から出た途端、襲い掛かる極寒に身を竦める。

空は灰色で、なんだか雪が降りそうな天気だ。



俺はいつも通り、イヤホンを耳に付け、大股で校門を出る。





(・・・・・早く帰りたい)



今日は今までの中でも一番寒い日だ、って天気予報が言ってた。


耳につけたイヤホンが周りの音を遮る。

後ろで話している女子高生の話し声も、道路で走っている車の音も、賑やかな雰囲気になってきた街の音も聞こえない。




ひとりの、空間。




ついこの間までは、この空間が居心地良い空間だった。





「・・・・カラス君」



肩に感じた感触に視線を落とす。

寒そうに身を縮めている黒猫さんの姿。





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