カラス君と黒猫さん
「浮かない顔で、口角だけを上げてる感じ。背高かったから見下ろされてる感があって、何か・・・苛っとして酷い事言ったのも事実」
「・・・・・・それあんまり俺悪くないよね」
「でも今でもカラス君って近寄り難い雰囲気あるよ。威厳、と言うか」
「威厳んん?そんなの無いよー」
あ、黒猫さん小石に躓いた。
でも気にせず黒猫さんは続ける。
「うん。雰囲気、だけ。もう慣れたけど」
音楽プレーヤーの電源を切った。
イヤホンを耳から外し、ポケットに突っ込む。
「カラス君は、もっと一杯自分をアピールするべきだよ」
「アピール?」
「カラス君友達居なさそうじゃん。こんなに面白い人なのに」
「うわっ・・・・傷付いたー今。」
「喋る友達は見た事あるけど、友達と遊んでる所見たこと無いもん」
「・・・・・そう言う黒猫さんも」
「私は群れるの嫌いだから」
「ちょっ、何それ・・・・」
自分はいいのか・・・・・。
黒猫さんらしいけど。
「明日、来てくれる?」
前後に居る人達の話し声が脳に響く。
あぁ、そうか。
クリスマス。
だから賑やかなんだ。