カラス君と黒猫さん
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12月25日。
キャバクラ〝LAURA〟より。
「久し振りーっ!元気してたか?」
「雅うるさい」
「黒猫さんは風邪引いてたよ」
「貧弱な奴め~っ」
「馬鹿は風邪引かないらしいよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
いつもとは少し違うタキシードに身を包んでいる雅が項垂れる。
ここ、キャバクラ〝LAURA〟はクリスマスのせいか、ごった返しの客で一杯だった。
(クリスマスまでキャバクラに来る人達って・・・・)
そう一瞬思ったけど、それは自分も同じだから言わない。
「黒猫ぉ、今日店出るよな?服どうするよ」
「あー、雅が決めて。面倒臭い」
「サンタさんとかは?」
「そう言うのはカラス君に着せてあげて」
「えっ?!」
店へと続く長い廊下の端に、控え室がある。
そこが今居る俺達の場所だ。
小さくて、簡易的に設置されてる物置的な存在な所だったけど、何か居心地いい。
黒猫さんはパイプ椅子に凭れ掛かり、眠そうに欠伸をした。