カラス君と黒猫さん










□ □ □


12月25日。


キャバクラ〝LAURA〟より。


「久し振りーっ!元気してたか?」

「雅うるさい」

「黒猫さんは風邪引いてたよ」

「貧弱な奴め~っ」

「馬鹿は風邪引かないらしいよ」

「・・・・・・・・・・・・・・」



いつもとは少し違うタキシードに身を包んでいる雅が項垂れる。
ここ、キャバクラ〝LAURA〟はクリスマスのせいか、ごった返しの客で一杯だった。



(クリスマスまでキャバクラに来る人達って・・・・)



そう一瞬思ったけど、それは自分も同じだから言わない。



「黒猫ぉ、今日店出るよな?服どうするよ」

「あー、雅が決めて。面倒臭い」

「サンタさんとかは?」

「そう言うのはカラス君に着せてあげて」

「えっ?!」



店へと続く長い廊下の端に、控え室がある。
そこが今居る俺達の場所だ。


小さくて、簡易的に設置されてる物置的な存在な所だったけど、何か居心地いい。



黒猫さんはパイプ椅子に凭れ掛かり、眠そうに欠伸をした。



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