カラス君と黒猫さん





「くろねこ?」


俺がそう聞き返すと、その友人は呆れた顔で俺を見遣った。




「なあんだお前知らねぇのぉ?同じ様なニックネームなのに」

「知らない。ってかニックネームって」

「黒音 琴羽って女ぁ。だしょ?名前の作りが似てんのー!!」


へぇ。
俺のほかにもそう言う名前の奴が居るのか。



「本当ネコみてぇな感じでさぁ。不思議ちゃん、だよなっ?」

「そうそう。掴めない、っつーか」

「そうだ!コイツ前、黒猫にナンパして・・・・・・・・・」


友人が、面白いことを喋りだすような口調で続けた途端、授業開始のベルが鳴った。



「ちぇー。んじゃあまた話すなぁ、カラス」

「話さないでぇ!イヤー!」



去って行く、友人。
今の話は記憶の片隅に置いて、見送った。









まさか、それが俺の、平々凡々で最高に退屈の“日常”を狂わせるなんて。








< 14 / 223 >

この作品をシェア

pagetop