カラス君と黒猫さん
背丈は普通くらいで、真っ黒なシルクドレスを纏っている。
長い髪を後ろで纏め、綺麗で優雅な雰囲気。
(何か、不思議な・・・・・・・)
注文されたものを取りに、カウンターへ体を向けた時。
「ねぇ、“カラス君”って、きみ?」
「はい?」
袖を捉まれ、動きを止められる。
「・・・・・・・あ、はい。あだ名みたいなものですけど」
微笑したら、その女性は満面の笑みを浮かべた。
「見つけた!!あっはっはー良い男じゃない!」
「?!」
がし、とその細い腕で肩を掴まれ、前後に思い切り揺さぶられる。
(脳震盪・・・・・・・・・)
綺麗な笑顔を揺さぶられながら垣間見て、ふと疑問に思う。
「何で僕のなまえ・・・・・・・・・・・」
バタンッ!
一際大きな物音に、俺は入り口の方に視線をやった。
他客も俺と同じ様に視線を移している。