カラス君と黒猫さん
エレベーターで地下に下り、カジノの入り口からひっそり入る。
人混みを掻き分けて、雅と黒猫さんの姿を探した。
(居た。・・・・・ナイス雅)
人が少ないカウンターの近くで、金髪坊主と猫耳の黒猫さんの姿が。
丁度、俺に背を向けて喋っている。
携帯を片手で構えて、いつもより張り上げた声で黒猫さんを呼んだ。
「黒猫さん!」
「ん」
振り向いた。その瞬間にボタンを押した。
かしゃ。
「ナイスっからすー!・・・・・響きいいな」
「・・・・・・・・・・・・カラス君?」
俺の携帯の画面には、先程撮った黒猫さんの顔。
「ごめん。撮っちゃった」
「・・・・・・え、撮った?」
「うん。写真で撮っちゃった。」
「・・・・・・・マジで撮ったの?」
「ほら。」
画面を黒猫さんに見せる。
途端に黒猫さんの白い手が携帯を捕まえようとした。
「だめ」
・・・・危機一髪。
腕を伸ばしてそれを阻んだ。