カラス君と黒猫さん
「まぁまぁ良いんじゃないの?猫耳を写真におさめたい気持ちも分かるし」
「良くない!せめて用意した顔で撮ってくれればよかったのに・・・・」
「用意した顔って何だよ」
「・・・うがああああ・・・人生の恥だあ」
「落ち込むなってぇ。」
黒猫さんが俺を見上げた。
「カラス君も今度撮って遣る」
「・・・・・気を付けるよ」
「黒猫ー、俺はぁ?」
「撮る価値無いもん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
がた、と椅子から立ち上がる黒猫さん。
「・・・・・・そろそろ仕事、戻る・・・・。」
「おう、もうそんな時間か。俺も裏方行ってこよっと。」
「皆が行くなら俺も仕事戻る。高見さんに任せっぱなしだし」
雅が小走りでカウンターの裏に回ると同じくらいに、黒猫さんと挨拶を交わして別れた。
(良いもの撮れた。消さないようにしないと)
特に俺は何でもかんでも全件削除してしまうから、保護をしてっと。
「高見さん、仕事戻ります」
「あぁ、助かるよ」
シャンパンを注いでいた高見さんが年相応の笑顔で迎えてくれた。
「いっやーしかし、カラスが琴羽嬢の彼氏だったとはねぇ」
「うん、彼氏ではないですよ」
「ここのキャバクラでは有名なんだぜ?マユさん。LAURAのナンバーワンなんだ。」
「・・・・・・納得、する。」
腰に巻いたエプロンをしめ直す。